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僕たちに明日はあるのか?VOL2 [ぼくたちのシリーズ完結編]

-翼 2-

僕はアメリカの空を、ジュニアのサポートを受けて順調に高度を上げていた。

僕とジュニアを乗せたセスナは、オンボロ状態。

ジュニアのお父さんだった「ダディ」の愛機で、僕とジュニアは空の楽しさ

そして、厳しさを学んだ懐かしい機体だ。

「OK!シン。トレーニングエリアだ。」

「トレーニングエリア?」

「ああ・・・ここからは、お前は自由だ。シン。但し・・・」

「あん?」

「今、中間地点。10サウザンフィートに居る。」

「10サウザン?確かに高度計は合っている気がする。」

「貸し切りだ・・・この空。」

「いいのか・・な。」

「ああ~ここは、航路から外れているし、トレーニングエリアだからな。」

「そうか・・・言い忘れてたけど。」

「なんだ?」

「お前のパラシュート使うなよ!」

「何で?」

聞くまでもない話だ。僕はちょっとしたいたずらをパラシュートに仕掛けている。

わざわざ・・・アメリカくんだりまで、飛んできたのだから、これくらいは

多分、許容範囲だ。

「なるほどな・・・お前も使うなよ!」

「あん?」

「お前のは使い古しだし、コード切れかかっている」

「と・・・言うことは、ドローか・・・」

僕とジュニアは空を存分に駆け回った。ジュニアはフライトスクールの教官で、

適格に僕にアドバイスをくれている。

いつの間にか、空は赤みを帯び始めていた。

「さて・・そろそろ帰ったほうがいいよな?俺ナイトフライトはやったことがない。」

「ああ・・こいつじゃ無理だな。一泊だけしないか?」

「あん?」

「最新鋭のリアジェットの初飛行にご招待しようかと・・・」

「ごめん。無理・・だ。今夜の便で帰って・・・日本に到着したら・・」

「アライバル?」

「ああ・・・その日の夜には、またこっちへ向かって飛ぶけど・・・」

「はあ?アンビリーバボー。こっちに居て、客だけ飛ばせば済む」

「そうしたいけどな・・・仕事は仕事。」

「真面目になったもんだ!」

「一応・・・かな・・・適当には・・・・」

僕はツアーコンダクター。つまり、添乗員の職を得ていた。

ネズミーランドのオープニングキャストもやったけど、家族を養うのには

稼がねばならない。

そんな時にSさんから、「いい仕事あるぞ!」と紹介を受けたのが、

この仕事だ。

やり様によっては、お土産物屋等のリベートやバックマージンやら、

お客様からのチップだけで、僕の年代が稼げるであろう最高額に近い金額を

稼いでいる。しかも、税金はお給料の分だけだから、これ以上文句は言えない。

まあ、時々Sさんの頼みで、〇〇興産やら△x興業とウサン臭い人たちの

懇親会などの特別なお仕事は廻ってくるけど、チンピラ組織と違い、任侠の方々は

それなりにチップをはずんでくれるので、割がいい。

ついでに、とある銀座のお店のママを上客に掴んでいるので、結構な稼ぎを得ている。

まあ、最近は遠征先もとい添乗先でお客様がトラブルに巻き込まれた時などは、

Sさんに助けを求めている。求めているというより、「餅は餅屋」というらしい。

「なあ・・ぶ・ちょ~ぉ」

「やめろ!ジュニア。俺は・・・もう部長じゃねえぞ。」

「じゃあ。いいんちょ~ぉ」

「それもやめろ。」

「あいつらどうしてる?」

「あいつら?」

「ああ・・・悪たれ連とちょっとこわい・・・」

「ああ!あいつらね。元気じゃねえか・・・・きっと。」

「あん?会ってねえのか?」

「会ってないねえ~ここ数か月。」

僕が添乗員を始めて、泊りの仕事が入りだした時を思い出した。

「お~い!ご指名入ったぞ!」

僕はガランとしたオフィスの片隅で、添乗報告書と格闘していた時だった。

「まさか・・」と思い無視をしていたのだけど、僕に話しかけていたのだ。

何しろ、周りに居るスタッフは、すべて内勤社員で添乗には、よっぽどの事が

ない限り、行かない人たちばかりだ。

僕も、女性の先輩が「お腹が痛い」と仮病を使ったので、予定変更で九州一周ツアー

4泊5日のツアーを出発の前日。それも夕方に申し渡されて飛んできたばかりだった。

「はい?」

「今度はご指名で北海道だってよ・・貸し切り!」

「貸し切り・・ですか?」

「ああ・・・行ってこい。」

僕は打ち合わせに出かけた。普通、ツアーの場合、添乗員の手元には、遅くても

前日には参加者名簿は来るのだけど、当日。幹事さんから渡されることになっていた。

「誰だろ?」僕はちょっとだけ腑におちなかった。何しろ、まだ泊りの仕事が始まった

ばかりだったし。まあ、アンケートはそれなりの点数はもらっているけど、初めての

”ご指名”なわけだから、誰が指名をくれていたのか?判らなかったのだ。

「まあ・・いいや。」

僕は軽い気持ちで添乗に必要なクーポンや送客書、添乗金を受け取ると、ねぐらに飛んで

帰ったのだ。

ー サプライズ 1」-に続く。


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